【今回の特別ゲスト登壇について】by ビートルズ大学学長・宮永正隆
(以下、敬称略)
ショーン・レノンは、日本が誇るアーティスト「コーネリアス(=小山田圭吾)」のファンで、各地のコンサートを観に来て交流を重ねていた。
そして2009年1月、ショーンが自身で立ち上げたレコード会社「Chimera Music(キメラ・ミュージック)」の所属アーティストのショー・ケース(顔見世興行)を東京(恵比寿リキッドルーム)で行なった際、なんと小野洋子が率いるヨーコ・オノ・プラスチック・オノ・バンドも登場したのだ。
流動的なメンバーであることがコンセプトの「プラスチック・オノ・バンド」は、歴代メンバーは(ジョン・レノンはもちろんのこと)リンゴ・スター、エリック・クラプトン、クラウス・フォアマンといった面々が名を連ねてきたバンドだ。
ショーンがそのバンドの今回のメンバーとして迷わず依頼したのが、コーネリアス(および彼のバンド)であった。
ショーンの盟友・本田ゆかも加わった凄い布陣の「21世紀のプラスチック・オノ・バンド」である。
(トップ写真 参照)
そのショー・ケースで、小野洋子はこのバンドをいたく気に入り、NYでのスタジオ・レコーディングでも、演奏のみならず、何曲かのプロデュースまでコーネリアスが手掛けることとなった。
このアルバム『Between My Head and the Sky』は同年9月に発売され、MOJOやQといった世界的な音楽誌で最高点を取り、同年11月には日本公演も開催され大成功となった。
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私(宮永)の個人史で言うならば、コーネリアスはフリッパーズ・ギターのデビュー以来ずっとわくわくさせられている存在である。
「フリッパーズ・ギター解散」を日本で最初に報じたのは私と相方でやっていた「オールナイトニッポン月曜1部」だったほどだ。
(当日、パチパチ編集部から電話でコメントを求められたことで解散を知り、その夜さっそくラジオでそれを伝え、解散は嘘であってほしいと願いながら最新作『ヘッド博士の世界塔』から1曲『Going Zero』をかけたことを憶えている。)
ソロになった小山田圭吾が、コーネリアス名義で発信する全てのことに魅了され、ずっと応援してきた。
そしてショーンが彼の作品の大ファンになって2人の交流が重ねられ、遂にはプラスチック・オノ・バンドにまで結実するというのは、まさに「自分が大好きなもの」同士が融合した夢のような出来事であった。
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小山田圭吾を、フリッパーズ・ギターのデビュー以来、プロデューサー/ディレクターとして見つめてきた人物がいる。フリッパーズ解散後は小山田の所属事務所を立ち上げ、その代表として現在も共に歩んでいる人物だ。
それが「岡一郎」である。
音楽プロデューサーとしても、コーネリアスやショーン・レノン、細野晴臣、坂本龍一らを起用した名作「にほんのうた」シリーズが高く評価されている。
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岡は1954年生まれ。私より14歳上で、リアルタイムで68年のホワイト・アルバムに間に合った「第一世代」の若手に属する。
そう、彼はビートルズを深く愛する人物でもある。
私(宮永)と一緒に、2007年にポール・マッカートニーの「パリ・オランピア公演」、2008年に「リヴァプール・アンフィールド公演」を観に行っているほどだ。
私よりも先に(コーネリアスのアメリカ公演中に)ラスヴェガスで、ビートルズ×シルク・ド・ソレイユの大作「LOVE」を観て、いきなり号泣したことを報告してくれた人物でもある。
そんな私がコーネリアスの快挙に拍手を贈り、岡と一献酌み交わしたことがある。
彼は言葉少なに「・・・小野洋子さんの誕生パーティーでダコタにも招かれて全部の部屋を見ちゃったよ」とつぶやいた。
そのときの感慨を私は忘れない。
ダコタの内部もさることながら、あの大きなプロジェクトの様々な場面で、岡の記憶に焼き付いている様々な思い出はいかなるものか。
なぜか私は、それらを詳しく尋ねることを一度もしていない。
深層心理を分析するならば、私の中のレッド・ゾーンを振り切りすぎている出来事だからだろう。
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ジョン・レノン生誕80周年のこの大きな節目に、私は意を決して岡に頼んだ。
「ヨーコ・オノ・プラスチック・オノ・バンド」のときの思い出をたっぷり訊かせてほしい、と。
東京公演・レコーディング・アメリカ公演・打ち合わせ・打ち上げ・ダコタ訪問・・・濃密な90分を受講者の貴方と共有するつもりだ。
日本で初。
他では絶対に聴けない証言。
ビートルズやジョン・レノンのファン、または研究者であれば、これを見逃せば後悔必至だろう。
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岡一郎 プロフィール:
1954年生まれ。3Dコーポレーション代表取締役。フリッパーズ・ギター、エルアール等のディレクターを経て、現在はコーネリアス、カヒミ・カリィ、ショコラ等のマネージメントの傍ら、「にほんのうた」のプロデュースを手掛ける。
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